中国・チベット旅行記 鳥葬を見る

当たり前ですが、チベットには日本とは違った風習、文化があります。
チベットの風習の中でも特に衝撃的なのが、鳥葬でした。

ちょっとグロテスクとも言える表現があるため、苦手な人は読まないでください。
ただし、写真は載せていませんので視覚的には大丈夫です。

バックパッカーとして50ヶ国以上を旅行し、いろいろなものを見てきましたが衝撃度はNo.1と言ってよいです。

鳥葬とは

鳥葬は葬儀の一種です。天葬とも言われます。

日本では火葬が一般的ですが、チベット仏教ではチベット仏教の葬儀は塔葬、火葬、鳥葬、水葬、土葬の5種類があるそうです。
その中でもチベットの高地では鳥葬が一般的です。

鳥葬はその名の通り、鳥(ハゲワシ等)に死体を食べさせるものです。

残酷なように聞こえるかもしれませんが、魂が抜き取られた後の肉体は抜け殻に過ぎずそれを天へと送り返す方法だそうです。
そして、魂の抜けた肉体を他の生命に恵みとして与えるという考えがあるそうです。

鳥葬場へ

2006年に中国政府が鳥葬の撮影や見物を禁止したため、現在では見ることができません。
しかし、私が訪れた2001年当時は限られた場所で鳥葬を見ることができました。

鳥葬が行われる場所はラサから車で数時間かかる場所でした。
バスなどの交通機関はないため、車をチャーターすることになります。

一人で車をチャーターすると高いので、ラサのヤクホテルに泊まっていた日本人バックパッカーで行きたい人を募りました。
すると驚くことに13人も参加することになりました。
1台では乗り切れないため、2台チャーターしました。

鳥葬は朝に行われるため、ラサの町を真夜中に出発しました。
決して車は広くなく道もよくはないですが、さすがにみんなバックパッカー。
そんな状態でも寝ながら移動です。

車に数時間揺られて鳥葬場に到着しました。
しかし、すでに鳥葬が始まる時刻になってしまっていたので、車を降りて焦って鳥葬台まで移動しました。
標高が高いので、けっこうたいへんで息が上がりました。

衝撃の鳥葬見学

鳥葬台についてみると、すでに1体目の鳥葬が終わっているようでした。
しかし、その日は全部で3体だったので、2体目からは見ることができました。

鳥葬というと死体を置いて勝手に鳥が食べるだけど思うかもしれませんが、実は鳥が食べやすいように死体を切り刻みます。
その光景は衝撃的です。

まず、死体が鳥葬台に乗せられます。
死後時間が経過しているからか色が黒っぽくなっていました。
台の周りを鉈のような刃物を持った数人のチベット人が囲みます。
そしてその周りにハゲワシが数十羽が集まってきます。
しかし、ハゲワシもよく知っており、死体にとびかかることはなく、死体が切り刻まれるまで待っています。

そして、いよいよ始まります。

一人が鉈を振り上げ、死体の腹を一気に裂きました。
死体とはいえ、人の体を刃物で切り裂く姿は、目をそむけたくなるほどの衝撃を受けました。
しかし、チベットの死に関する考え方、文化、風習を見るために来たわけですから、目をそらすのは失礼な気もして最初から最後まで見続けました。

一刀目の後も、どんどん解体は続きます。
内臓が露わになった時にすごい臭気がし、みんな少し離れました。
そして、頭の皮をはぎ、足の裏の肉を削ぎ、ほぼ骨の状態になります。
指をたたき切り、骨は叩き割ります。

その様子を見ている大きなハゲワシが今か今かと待ち構えています。
それを周りの人が止めています。

解体が進み、肉も骨も鳥が食べやすいように細かく潰されます。
するとハゲワシを抑えていた人の手が離れた瞬間、ハゲワシが一気に台に躍りかかり食い始めました。
わずかな時間で余すところなく食べつくされました。

そして、3体目。
ハゲワシはまた離れていき、また解体が始まります。
3体目は子供の死体でした。
子供でも同じような解体が行われます。

それも最初から最後まで見ました。

鳥葬からの帰り

行きは夜だったのでわからなかったのですが、とても景色のいいところがありました。
車を止めてもらって、みんなでその景色を楽しみました。

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山々ときれいな川が流れています。

みんな先ほどまで鳥葬を見たショックなどなかったかのように、その美しい景色を楽しみました。

鳥葬を見て感じたこと

文章を読むだけでも衝撃的な内容かもしれませんが、実際に鳥葬を目にし匂いを嗅いだときの衝撃ははかりしれません。
しかし、死んだあと、自分の肉体を他の生物に与える、その考え方はある意味で素晴らしいことではないかと思います。

人それぞれ感じ方はあると思いますが、私は他の文化を尊重し、考えを理解できないまでも受け入れることが重要だと思います。
そのような様々な文化や人に出会うことがバックパッカーになった目的なのですから。
チベットで鳥葬を見たことも私にとっては良い経験でした。

ラサの町の様子はこちら

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